ゲーム史上最大の都市伝説「砂漠の下のE.T.」に挑んだ者たち……『アタリ ゲームオーバー』で見届けよ!!

※本記事は「ゲームラボ」等に掲載した記事の再掲載版です。2015年初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

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ATARI社を崩壊に導いた『E.T.』がニューメキシコ州の砂漠に埋まっている――この都市伝説が事実であることを突き止めた人々のドキュメンタリーDVD『ATARI GAMEOVER(アタリ ゲームオーバー)』日本版が9月16日(水)に発売されますよ!

日本版にはATARI社の創業者、ノーラン・ブッシュネル氏らへの特別インタビューが収録されるなど、ぶっちゃけゲーム史的にとても重要な意味を持つ記録映像集。ゲームマニアなみなさまにおかれましては、チェック必須の作品といえるのではないでしょうか!!

E.T.? ATARI? どこの国の話?

おそらく日本人にはなじみが薄い米ATARI(アタリ)社。1983年から1985年にかけて北米ゲーム市場を襲った、アタリショックと呼ばれる急速な市場縮小が起きるまでは、家庭用ゲーム機市場を作り上げた企業として業界に君臨する巨人でした。アタリショックの原因はゲームの粗製乱造、つまりクソゲーの氾濫にあったと言われています。

『ATARI GAMEOVER』はそんなアタリショックの引き鉄になったとも、史上最悪のクソゲーともいわれる伝説的ゲームソフト『E.T.』を巡る物語。『E.T.』はもちろん、あのスティーヴン・スピルバーグによるヒット映画のゲーム化作品でして、ATARI社にとっては地獄への片道切符となった作品です。

『E.T.』は出来の悪さからまったく売れませんでした。需要予測を完全に見誤った結果、ATARI社が抱えることになった在庫はなんと500万本!(でも100万本は売れたというのもすごい)。想像するだけで吐きそう。おかげで経営状態は直滑降、会社は分割され、ATARI社はかつての輝きを失うこととなったのです。

『E.T.』の不良在庫は砂漠に……?

……さて、500万本といわれる“売れ残った『E.T.』”の行方を巡って、いつしかマニアたちの間にとある都市伝説が語られるようになります。

「『E.T.』の不良在庫が、ニューメキシコ州の砂漠の果てに埋められている」

▲『ATARI GAMEOVER』より

『ATARI GAMEOVER』は、その真偽を確かめるべく検証を進めるザック・ペン氏(映画「アベンジャーズ」の脚本家)を追い、ついには砂に埋もれた『E.T.』を掘り当てるという奇跡を成し遂げるまでの様子を収録したドキュメンタリー作品なわけです。ある意味ザック氏はゲーム業界のシュリーマン(伝説上の都市とされていたトロイアを発掘した考古学者)といったところでしょうか。

▲よく探そうと思ったもんです……

本作品がさらに興味深いのは、単なる宝探しムービーに終わらず、取材の過程で『E.T.』のクリエイターらATARI関係者の「その後」も明らかになってくる点。栄枯盛衰の裏側にはやっぱりドラマがあったんですね。当時の関係者にとってはパンドラの箱ともいえそうな事実を掘り当てる……この上なく人間的なムービーな気がしますぞ! きっと最後まで見届けることが史上最悪のクソゲーと呼ばれた『E.T.』の供養になるのではないでしょうか!!(強引)

▲ATARI 2600用ソフト『E.T.』が……本当に!