※本記事は雑誌「ゲームラボ」等に掲載した記事の再掲載版です。2015年初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
* * *
会社を潰すほどのクソゲーなんてあるのか?
1980年代前半、ゲーム界の巨人・ATARIがとある一本のクソゲーによって倒れた。その名は『E.T.』。スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた超名作SFをゲーム化したものだ。
しかし、こいつがとんだクソゲーだった。
売上不振でATARIは経営破綻、巻き込まれるようにゲーム業界も沈没する。
この「アタリショック」として知られる崩壊劇の裏側で、とある噂が蔓延していたことはご存知だろうか。
ATARIが大量に抱え込んだ不良在庫を、ニューメキシコ州の砂漠に埋めて処分した――。
しかし、都市伝説と思われていたこの話、昨年になって事実であることが判明。ゲーム業界に激震が走った。マジだったんかーい!
↑ATARI版『E.T.』は本当に砂漠に埋められていました(写真は『ATARI GAME OVER』より)
この奇跡の発掘プロジェクトの模様を収めた映像ドキュメンタリDVD『ATARI GAME OVER』の日本語版が本日発売された。『E.T.』発掘までの軌跡が気になる方はぜひ購入いただきたいのだが、それ以上に気になるのは「『E.T.』はそんなにクソゲーなのか?」という点だ。
クソゲーが会社を潰すというなら、あの会社もこの会社もとっくの昔に潰れていそうだが、そうはなっていない。であれば「会社を潰すほどのクソゲーってどんだけ?」と興味が沸いてくる。
そこでATARIに引導を渡したとされるクソゲーの評価が妥当なものか、はたまた不当評価か、お試ししてみたぞ!!
▲ATARI2600本体。レトロモダンな雰囲気でなんだかかっこいい。
ATARIに引導を渡した『E.T.』プレイレポート
それっぽいオープニング!! オープンニング画面はかなりリアルなE.T. が描かれ、映画でおなじみのテーマ音楽も。期待できそう。
E.T.降臨!? 謎のフィールドにピンクのゴンドラに乗ったE.T. らしきものが降臨。 おまえ……だれや!?
とりあえず……路頭に迷うぞ! 説明書を読んでいないとはいえ、何をすべ きか1ミリもわからない。どうするE.T.!?
とにかく捕まる。フィールドをうろつく白服(後に科学者と判明)に捕まるとギリシャっぽいとこに連行。いろいろと危機が発生!
そして落ちまくる! 理不尽なほど穴に落ちる。脱出時に方向レバーを入れた状態だとまた落ちる。そして死ぬ……を繰り返すことに。
『E.T.』実はこんなストーリー
宇宙船で地球に調査しに来たE.T.を送り返すのが目的。惑星間電話のパーツを集めて、仲間の宇宙船を呼び出すのだ!(ということは、ピンクのゴンドラは宇宙船だったのか!)
プレイした者どもの声と評価点(各自10点満点)
【9点】ATARIへの思い入れが強いライターpusai
普通の現代人であれば「何をすればいいか分からない」というのが素直な感想だろうネ~。なにせゲーム内ではルールの説明ゼロ。でもネ~、ルールさえ分かれば遊べる作品だと気づく。探索ゲームとしてしっかりと作られていて、実はオープンワールド的側面があるとかどんだけ~。
【4点】“キャラものは駄作” の偏見を拭い切れない編集スタッフ30代
「E.T.はどこじゃコラァ!?」と思ったら、方向レバーを入れると動くこのキャラがそうだと知り、表現力の激低さに震えた! 遊び方を直感的に理解することはまず不可能と判断し、説明書を読んで把握。当時のガチ購入者の心境を思い浮かべながら心を込めてプレイ。気づいたら寝ていた。
【2点】美少女ゲーム大好き編集アシスタント女子20代
まず操作方法と目的がわからず戸惑った。タイトル画面が映画「E.T.」っぽいだけにゲーム開始後のガッカリ感が半端ない。穴に落ちすぎだし、どこに行けばいいのかわからないし、ノーマルでプレイすると超捕まるし、ほんとクソゲー! え、あの誘拐野郎、科学者なの? タ○潰すよ\(^o^)/
【総合得点15点(30点満点)】クソゲーとは言い切れないけど、しんどい!
クソゲーの定義にもよるが、怒りを覚えるような理不尽さは無く、根気強く取り組めば突破可能。強いていうと、非常に「しんどい」ゲームだ。だから今後『E.T.』について語る機会があれば次のように話すのが無難なのではないかと思う。
「あ~、言われてるほどクソじゃないよ。しんどいけど」。