※本記事は「mitok[ミトク]」に2016年2月に掲載した記事の再掲載・転載版です。テキスト、画像いずれも初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
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暖冬と言われてますが、それでも早朝、深夜は「使い捨てカイロ」のありがたみを感じる程度にはブルっと寒いですよね。使い捨てカイロにはタイプやメーカーなどいろいろな種類があります。それぞれ使い方や記載されてる温度、持続時間などあれこれ書かれてますが、実際のところはどうなのでしょうか?
気になったので、「貼らないカイロ」をピックアップして、商品によって温度変化に特性があるのかチェックしてみました。(検証|coiler)
今回チェックした「貼らないタイプの使い捨てカイロ」
コンビニで手に入りやすいロッテ、オカモト、桐灰化学、興和の4社に加え、ダイソーで売っている「貼るタイプのカイロ」の温度変化をチェック。
- ロッテ / ホカロン
- オカモト / 貼らないカイロ 快温くん
- 桐灰化学 / 桐灰カイロ
- 興和 / ホッカイロ
- 大創産業 / あったかカイロ
検証① 温度変化
実験はカイロを使う状況を模したセットアップにカイロを並べて、5分おきにそれぞれの温度を測るという方法で行いました。環境は気温約13-15℃の直射日光や風の当たらない屋内で行い、カイロの配置は上昇気流などの影響がないように水平に並べました。
カイロ周りのセットアップは体の代わりに厚さ1cmの木の板の上に温度計を設置して、その上に肌着を模した薄めの布と測るカイロを置き、さらに服&上着を想定してカイロの上からニット生地を4枚重ねました。
温度測定のためのセットアップは本来人体を模した環境が作れれば良いのですが、人間は一定の体温を持つ恒温動物なのでカイロが体温以下だと熱を与え、逆に体温以上の温度になると熱を吸収するという働きをします。短時間なら温水を入れたボトルでも使えば良いのですが流石に12時間以上は難しいので、今回はほどほどの断熱性と伝熱性を持つ木の板を人体に見立てて計測。
なので、今回の実験は人体で使った時に実際に得られる温度ではなくて、あくまでカイロごとの特性の差の比較程度として見てください。ちなみにJISなどの規格ではきちんとヒーターなどを備えた温水装置を使って測定しているようです。
一応今回は外気温の15℃程度に対し温度が高い=発熱があるという事なので、測った温度が低めでも体に貼って体温がある状況なら体温+カイロの発熱分で暖を取れる温度はあるという感じです。また、よくカイロを使う時に振ったり揉んだりしますが、その辺りはパッケージに記載されている使い方に準拠して、計測中は一切触らずに放置した状態で測定しました。
検証② 重量の変化
カイロは中の鉄粉が空気中の酸素と反応して発熱するので、どの位の変化があるのか一応それぞれのカイロの重さも使用の前後で計ってみました。ただ使用前後の重さは反応した酸素と元々持っている水分が蒸発した分の差し引きになるので、具体的に酸素が何g反応したかというのはちょっと不明です(結果としては全体的には重量増になっているようでした)。
まずは「貼らないカイロ」温度変化をチェック!
貼らないタイプのカイロの結果を見ると、製品によって最高温度と温度変化の経過に差があることがわかります。最高温度は桐灰化学『桐灰カイロ』で45.3℃でした。公称値(63℃)と比べると低いですが、これは検証方法の違いによるものです(今回はあくまでも商品ごとの温度変化の差をチェックするのが目的)。
桐灰化学『桐灰カイロ』があったか〜いぞ!
検証方法の違いから公称値の温度は確認できませんでしたが、今回検証したカイロの中で判断すると、桐灰化学『桐灰カイロ』がもっとも暖かいカイロと言えますね。ダイソー製品はやや小さいこともあるのか、4時間過ぎから急激に温度が低下。長持ちはしないみたいです(ただし、108円6個入りなのでお得度は抜群)。
ちなみに公称値ベースで見ると、「貼らないタイプ」は「貼るタイプ」に比べて、全体的に最高温度が高め(70℃近く)で、かつ持続時間が長め(20h程度)のようです。それ故か重さが50g台と、重めのカイロがありました。成分はどちらも会社ごとに同じようです。
ロッテ『ホカロン』
スペック
温度変化
温度変化は最高温度が31.2℃とあまり高くならず、そのまま少しずつ下がりながら続いていく感じになりました。貼るタイプに比べて量もあり両面通気性があるのに、意外と発熱は少ないようです。ただ、まだまだ温度は維持できそうなので、ゆっくりと長時間発熱し続けるタイプかもしれません。実際使う時は多少振ったりすると丁度良い発熱になりそうです。
オカモト『貼らないカイロ 快温くん』
スペック
温度変化
最高温度は今回検証した5製品の中では一番低いものの、ゆっくり徐々に温度が上がっているので、これも『ホカロン』と同じく長時間安定して温度を保つタイプなのかもしれません。発熱自体は少ないもののグラフからするとまだまだ発熱量はありそう。こっちも動いたり振ったりするような使い方だと良い感じに早めに発熱してくれるかも。
桐灰化学『桐灰カイロ』
スペック
温度変化
一気に最高温度45.3℃とかなり高い温度を記録、その後6時間を過ぎたあたりから徐々に温度が下がっていきました。 今回の検証ではもっとも温度が高く、『ホッカイロ』『快温くん』とは異なり、一気に発熱して温度を上げる特性のカイロのようです。実は桐灰化学のカイロは貼るタイプも高温系で、けっこう攻めの特性のカイロを作るみたいです。特に寒い状況で使うには『桐灰カイロ』が向いているかもしれません。
興和『ホッカイロ』
スペック
温度変化
温度変化としては桐灰化学製と同じく一気に高い温度になるタイプ。温度も近い感じですが、ピークがややゆっくり来ている点、最高温度が43.1℃という点を踏まえ、どちらかと言えば 少し落ち着いた感じの特性でしょうか。
ダイソー『あったかカイロ』
スペック
温度変化
定番の100円ショップ、ダイソーで売っているカイロです。大きさは他のカイロと比べてひと回り小さめですが、内容量はそれなりにあるようです。ちなみにダイソーは日本カイロ工業会会員ではないようで、測定条件などの記載もありませんでした。
温度変化を見ると、比較的早めに42℃という高めの温度を記録しましたが、4時間を過ぎたあたりからグーッと下がり始め、8時間を過ぎた辺りで25℃を下回りました。 それなりの発熱量はありますが、どちらかと言うと短期型のカイロのようです。