【プレステ4耐久テスト】夏がやってくる前にPS4の耐熱・耐冷・電源性能の限界をチェックしておく

※本記事は「mitok[ミトク]」に2015年5月に掲載した記事の再掲載・転載版です。テキスト、画像いずれも初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

急激に暑くなってきたような気がする今日このごろ。こうも暑いと人間だけでなく機械もバテてしまうわけです。とくにPlayStation 4のように熱を発する機械は外気温に気をつけておきたいところ。

というわけで(強引な流れですが)PS4の耐熱性能をおさらいしてみました。だいぶ極限環境のような条件での検証結果となっていますが、PS4の発熱が気になる方は参考にしていただければと思います。

耐熱テスト方法

PS4を密閉容器(580×370×340mm / 38.9L)に格納し、『バトルフィールド4』をプレイ(特定エリアで旋回し続けるようコントローラを固定)。熱暴走で動作停止するまでのCPU(ヒートシンク部)と排気口部の温度変化をチェックする。温度計測にはSDカードデータロガデジタル4ch温度計「TM-947SD」を使用。

耐熱テストの結果

PS4がシャットダウンしたときのCPU 温度は73.5℃、排気口は71.5℃だった

67度以上の環境でプレステ4を動かしちゃいけない!

ゲーム機は過熱トラブルが多い。排気口が塞がれるなどすると熱は一気に上昇する。本テストはそうした状況を想定したもの。結果は上記グラフのとおり。

CPU温度が73.5℃まで上昇した時点でPS4がシャットダウンした。本テストではCPU直上のヒートシンクで温度測定しているため、その熱抵抗値などを考慮するとCPUダイ自体は80℃を超えていると考えられる。

CPU温度が80℃を超えるとサーマルシャットダウン(過熱保護機能)が働くことはまず間違いなさそうだ。このあたりは一般的なCPU の仕様と変わらない。

なお、停止時の箱内温度は66.8℃。つまりPS4の活動限界温度は外気温が67℃程度ということになる。このような高温下でプレステ4を動かす機会……なんてまずないだろうが、電解コンデンサや光学ドライブなど精密部品への影響も考えられるため、熱のこもる場所への設置は極力避けるべきだろう。

一般的な環境での温度推移も調べてみた

ちなみに、PS4の一般的な設置環境における温度上昇も調べてみた(容器に密閉して動かすことなんて普通無いし)。テスト環境は、①やや密閉空間となるAVラック②開放的な空間(机上)③PCとモニタの間にタテ置きという3パターン。

結果は下記のグラフのとおり。③タテ置き時が本体左右の空間が狭いせいかかなり高めの温度で推移し、①AVラックに入れた際がもっとも低い温度で安定した。

ただ①の場合はファンがかなり回転して冷却に必死な状態だったので、本体への負荷を考えると②開放空間に設置運用するのがよさそうだ。

①AVラックに入れた場合

CPUのピーク温度は67.4℃(同時点で排気口63.1℃、上面40.1℃、底面36.5℃)、その後は58℃前後で安定

②開放空間に設置した場合

CPU のピーク温度は67.7℃(同時点で排気口59.6℃、上面32.6℃、底面31.0℃)、その後は60℃前後で安定

③PCとモニタの間にタテ置きした場合

CPUのピーク温度は67.1℃(同時点で排気口62.8℃、上面33.5℃、底面35.4℃)、その後も66℃前後と高めで安定

おまけ① 冷やしてみたら?(耐冷テスト)

耐冷性能はどうだろう? というわけで、ゲーム実行時(耐冷①)とストリーミング再生時(耐冷②)の2パターンで実施した。

検証方法

PS4をドライアイス(15kg)を詰めた密閉容器(580×370×340mm / 38.9L)に収め、動作が停止するまでCPU(ヒートシンク部)、排気口、上面、容器内の温度変化をデータロガー(TM-947SD)で計測。耐冷①はゲーム実行時(『バトルフィールド4』をプレイ)、耐冷②はストリーミング再生時(Twitchで配信動画閲覧時)のデータ。

耐冷① ゲーム実行時

PS4が停止した際の各部温度はCPU-0.4℃、排気口-11.3℃、容器内-32.9℃だった

耐冷② ストリーミング再生時

PS4が停止した際の各部温度はCPU-21.7℃、排気口-29.4℃、容器内-48.2℃だった

全体的に見ると、CPU温度-21.7℃(外気温-48.2℃)まで動作したのは民生ハードとしてはかなりの健闘と言える。一般的な半導体の動作保証温度は0~85℃(結露なし)であることが多いからだ。

耐冷①でゲームプレイが途中で止まったのは、BDドライブやHDDのモーターまわりが凍結したことが原因だろう。ドライアイスを冷媒にしたため水分によってBDドライブのレンズに霜が張り、読み込み不良になったことも考えられる。となると、水分のない寒冷環境であれば、回転機構などのグリスが固まる温度くらいまでは動作しそうだ。

なお、他の動作不良要因としては、電解コンデンサやデータ保持用電池などが凍結したことで回路上の必要な動作を果たさなくなった可能性もあるだろう。

おまけ② 過剰なまでの電源性能……

テストついでに不安定電源での動作も検証してみた。この場合「低電圧で動作」するかがポイントになる。

検証方法は、スライダック(変圧器)を利用してPS4への供給電圧を40~130Vの幅で調整し、PS4が落ちた電圧をワットチェッカーで確認。あわせて起動に必要な電圧も確認するとういうもの。100V入力の一般的なAC アダプタは80~250V程度の電圧変動に耐えるよう設計されている(世界仕様は85~240V)。

100V仕様のPS4はUVLO(Under Voltage Lock Out)が作動するらしく、一度落ちると75V程度の電圧を検知しない限り再度電源をオンにできなかった。不安定な電圧の供給で回路を壊さないよう、ヒステリシスモードが働いているということだ。

逆に、一度起動させるとなんと46V程度まで落ち込んでも動作し続けるという驚異の電源設計技術を見せつけられた(リレーが存在するのか、電圧低下で強制遮断)。まぁ、電圧がこんなに下がる環境で遊ぶことなんてないが。

なお、電圧が下がると消費電力はそのままにアダプタ部へ流れ込む電流が増え、各部品に熱ストレスがかかる(消費電力=電流の2乗× 抵抗値)。最悪発火のリスクがあるので電圧低下テストは真似しないように!

※本記事の検証結果はすべての商品で同様の結果を保証するものではありません。また、一部検証には専門的な技術や知識が必要となるものがあるため、決して真似しないでください。